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東電事故 4/5 注目ニュース

以下、気になる記事を転載。

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原子力大綱の改定中断、推進政策を転換へ

 内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)は5日、東京電力福島第一、第二原子力発電所の事故を受けて、国の原子力利用の長期計画をまとめた「原子力政策大綱」の改定作業を当面の間、中断することを決めた。

 改定作業の中断は極めて異例。大綱で、「地球温暖化対策とエネルギー安定供給に貢献する基幹電源」と位置づける原子力発電の推進政策の大幅な見直しは必至。国のエネルギー政策は大きな転換を迫られることになる。

 東日本大震災後、原子力委が開催されるのは初めてで、事故後の対応を見解として発表した。

 見解では、事故は、国内外で、原子力の安全確保に対する信頼を根本的に揺るがしたとした上で、「緊急になすべきことは、国内外の英知を結集して事故の収束に全力を尽くすこと」と強調した。
(2011年4月5日13時40分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110405-OYT1T00544.htm?from=main1

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福島第1原発:胸中複雑 避難の東電社員家族

2011年4月5日 12時21分 更新:4月5日 12時44分

 東京電力福島第1原子力発電所の事故で避難を余儀なくされた周辺住民の中には、東電やその協力企業に勤める人々の家族も少なくない。中には過酷な原発復旧作業に加わっている東電社員や作業員の家族も。「原発城下町」とも言われた福島県の「浜通り」地方。ここでも重大事故を防ぐことができなかった東電に対する風当たりは強まっており、身をすくめて家族を案じる人がいた。【渡辺暢】

 「震災後、連絡を取れたのは3回だけ。こっちの方が心配なのに、いつも息子の方から『大丈夫か』って言われるんですよ」。福島県浪江町の製材業、佐藤安志さん(69)はそう話す。

 原発事故の影響で、妻の敬子さん(67)と一緒に福島市内の体育館に避難してきた。長男勝志さん(43)は福島第1原発に勤めており、震災発生後は構内の免震重要棟に寝泊まりして復旧作業に携わっているという。

 震災発生当日、勝志さんは連休中だったが、翌日「会社が心配だから行ってくる」と言い残して家を出た。佐藤さんは「大丈夫か」と声をかけたが、勝志さんは「社員証があるから通れっぺ」と答えて車に乗り込んだ。それ以来、まだ顔を見せていない。

 避難所の中では、原発事故をとめることができなかった東電に対する怒りや不満の声も聞こえてくる。敬子さんは「大きな声で『息子は東電社員』とは言いづらいですよね」と漏らす。その傍らで、佐藤さんは「息子は命を懸けて働いてるんだ。早く収束させるのが仕事なんだ」と、敬子さんをなだめた。

 郡山市の避難所では富岡町から来た自営業の男性(70)が、東電社員の長男(42)を案じていた。時折電話をかけてくるが、「何をしているのか」と尋ねても答えてはくれない。

 「かん口令でも敷かれているのか、よほど危険なのか」。親としては不安だけが募る。「息子がただ心配で。俺だって『国策だから』と原発に協力してきたつもりだけれど、間違ってたかな」とつぶやいた。

http://mainichi.jp/select/today/news/20110405k0000e040070000c.html

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「津波想定甘かった」 耐震指針関与 入倉氏が謝罪

2011年4月5日 朝刊

 東日本大震災による大津波で、深刻な事故を引き起こした福島第一原発。その安全性のもとになる国の「耐震設計審査指針」改訂作業の中心となった国の原子力安全耐震設計特別委員長の入倉孝次郎・京都大名誉教授(70)が本紙の取材に応じ、「今回のような津波の予測ができなかった。申し訳なく思っている」と謝罪した。震源近くで福島第一だけ事故が発生したことにも言及。「多重防護システムに弱点があった」と認めた。 (梅田歳晴)

 -今回、原発事故が起きてしまったことをどう考えるか。

 「地震学者の一人として、非常に申し訳なく思う。私たちの津波評価が正しくなかったことは事実。想定以上の大地震が来たことは理由にならない」

 -どこに問題があったのか。

 「震源域には四つの原発があり、東北電力女川原発が一番近い。四つとも原子炉は止まり、基本的には揺れに対しては大丈夫だったが、その後で津波が来た。女川や福島第二はそれに耐えたが、福島第一は多重防護システムに弱点があった」

 -津波は指針に「随伴事象」としか書かれておらず、あいまいだ。

 「指針には『想定以上の地震が来るのは否定できない。リスクを最小にするために努力してほしい』と書いてある。揺れについてはバックチェック(見直し作業)で活断層などを再評価している。しかし、津波に対して不十分だった」

 -東電の津波想定が甘かったと考えるか。

 「津波が(福島第一の対策の)テーブルに乗れば、(最大で)五・七メートル(実際は十四メートル以上)ということは少なくともなかった。地震の専門家からみたら、地震動と津波はセットです。スマトラ沖地震(二〇〇四年、M9・1)の経験を日本でも生かすべきだった。海外を含めて、史上最大はどれくらいかを考えて設計しなくてはいけない」

 -貞観(じょうがん)地震(八六九年)を想定に入れるべきだったのでは。

 「貞観地震まで考えるのは合意ができていた。だが『貞観地震プラス(他の地震の)連動』だと、専門家の意見は分かれたのではないか」

 -連動するのは「想定外」だったと。

 「想定以上のことが起こっても安全なように設計されていないといけない。科学の力が及ばないということは絶対に言ってはいけない。それが原発の『設計思想』のはずだ」

 「何があっても多重防護で大丈夫って言ってきたのが、うそだった。人災だと思う」

 -今回の事故から学ぶべき教訓は。

 「自然の怖さを知って原発を設計することです。自然のせいにしてはいけない。自然では人知を超えたものが起こりうるんです」

●いりくら・こうじろう 京都大名誉教授。愛知工業大客員教授でもある。専門は強震動地震学。2001~03年に京都大防災研究所長、04年に同大副学長を務めた。原発の耐震安全性の評価に関わり、07年に新設された国の耐震安全性評価特別委員会の委員長を務めている。1940年8月生まれ。中国山東省青島市出身。


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011040502000041.html

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飯田さんの最新の講演です。

非常に厳しい現状分析と今後の政策について話しています。









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【配布資料】
※PDFから転載

「3.11 後のエネルギー戦略ペーパー」No.2

http://www.isep.or.jp/images/press/ISEP_StrategyNo2.pdf


2011 年4 月5 日

環境エネルギー政策研究所(ISEP)
提言者代表:飯田哲也

3.11 後の原子力・エネルギー政策の方向性
~二度と悲劇を繰り返さないための6戦略~

2011 年3月11 日に、東北・関東地方を襲った巨大地震とそれに続く大津波の影響は、計り知れない被害をもたらした。なかでも東京電力福島第一原子力発電所は、巨大地震と大津波の影響で、全電源が失われた後に、冷却水の喪失から炉心溶融、そして大量の放射性物資の環境中への放出など、史上最悪の事態に陥り、今なお収束していない。

本ペーパーは、事故の収束を見据えつつも、同時に新しい原子力・エネルギー政策の方向性を提起し、今後検討が必要な論点を提示することで、世論を喚起することにある。

【要旨】
1 原発震災の出口戦略
冷却・閉じ込めまでに数年単位、その後の管理に100 年単位の長期化が予測されるため、それを前提として、安全最優先の対策を取る。

(1) 「原発震災管理官(仮称)」の任命による統合体制の構築
(2) 石棺封じ込め方式への早期転換
(3) 放射能モニタリング(空気、水、土壌、食品)の広域・網羅的展開
(4) 実測および予測データに基づく避難区域・避難対策の全面な見直し
(5) 被曝被害者の長期追跡・ケア体制の構築
(6) 恒久的な事故処理機関の設立
(7) 産業への影響把握と対応
(8) 東京電力の全賠償責任と原発埋蔵金(約3兆円)の活用

2 原発震災の教訓化戦略

国内のみならず国際社会において、二度と原発震災を引き起こさないために、技術から政策決定の面に至るまでの総合的な「事故調査委員会」を設け、事故の構造的な要因を徹底的に洗い出す。
(1) 当事者・利害関係者を排除した独立的な「事故調査委員会」の設置
(2) 国の政策にも踏み込む聖域なき調査対象
(3) 情報・知見の全面開示

3 原子力安全行政の刷新戦略

事前の指摘や数々の原発事故隠しの発覚にもかかわらず、原発震災を防げなかった既存の原子力安
全行政を抜本的に見直し、人心一新して独立性の高い安全規制機関を新設する。
(1) 地震リスクに脆弱な運転中の原発(浜岡原発等)の緊急停止命令
(2) 既存の安全規制機関(原子力安全・保安院、原子力安全委員会)の廃止と、独立性の高い安全規制機関の新設
(3) 全リスクをカバーする無限責任の原子力損害賠償法の見直し

4 原子力・エネルギー政策の転換戦略

原発の大規模新設を前提とする既存の原子力・エネルギー政策路線は完全に非現実的であり、原子力・エネルギー政策を抜本的に見直す。
(1) 原発新増設(建設中含む)と核燃料サイクル事業の即時凍結
(2) 既存の閉鎖的なエネルギー政策機関(原子力委員会・資源エネルギー庁・総合資源エネルギー調査会)の廃止と、環境視点で開かれたエネルギー政策機関の設置
(3) 全国一体の送電会社の創設と電力市場の抜本的改革
(4) 自然エネルギーとエネルギー効率化(総量削減)を新しいエネルギー政策の柱に
(5) 気候変動政策・低炭素社会構築とエネルギー政策との相乗的な統合
(6) 原発国民投票による国民的な議論と原子力政策の見直し

5 緊急エネルギー投資戦略

短期的な対応として、電力需給、東電の一時国有化、自然エネルギーへの加速的投資を行う。
(1) 無計画停電に代わる戦略的な需要側対策の活用
(2) 自然エネルギーと送電設備への緊急集中投資と債務保証制度を用いた地域資金の活用
(3) 第一段階としての東京・東北電力の送電網公有化

6 段階的な原発縮小と整合する気候変動・低炭素社会戦略

気候変動政策・低炭素社会構築にエネルギー政策の転換を反映させる。そして、段階的な原発縮小と整合する気候変動政策を確立する。
(1) 2020 年30%、2050 年100%の自然エネルギー普及目標と実効的な支援政策導入
(2) 需要プル手法の省エネルギー・総量削減政策による2050 年に現状比5割削減
(3) 段階的な原発縮小と実効的な気候変動政策策と低炭素経済社会構築戦略の立案・公表

1. 原発震災の出口戦略
福島第一原発への対応は、地震発生直後の初動から3週間を経過した今日まで、「新しい事態発生→その場しのぎの対応→より深刻な新しい事態の発生」という状況が繰り返し進行してきた。もはや、この史上最悪の原発事故となった事態の収拾には、年単位の期間を要することは確実であり、事態収拾後も百年単位での管理を要することも避けられない。そうした前提に立って、以下のとおり、具体的な対処方針を提案する。

① 全権委任した「原発震災管理官」を任命し、統合的な危機管理・事故処理体制を構築東電原発震災の事故処理は長期化が必至であることから、現状のような官邸主導の体制では、戦略的な対応を迅速に取ることが困難であると考える。これまでの後手後手でドロ縄的に混乱した対応も、当事者である東京電力の対応のまずさや原子力安全・保安院の当事者意識や当事者能力の欠落に加えて、専門的な知見や経験を持たない政治家が前に出るかたちでの「政治家主導」が一因と思料される。規制官庁であるはずの原子力安全・保安院がモニタリングの体制をもたず、事故当事者の東京電力の発表データに全面的に依存し、分析も後手後手にまわっていることは、OECD 諸国から見れば信じ難い事態であろう。

そこで、迅速かつ戦略的な危機管理と事故処理に即応するために、危機管理と戦略的な思考、現場への想像力を持った人物を「原発震災管理官(仮称)」に指名し、これに全権委任した上で、国(原子力安全・保安院、原子力安全委員会、日本原子力研究開発機構、自衛隊など)や民間機関(東京電力、東芝、日立、東京大学、東工大など)、国際機関や各国研究機関などの全面的な協力を得て、これを統括できる体制を構築する必要がある。

また、国内外で広がっている不十分な情報開示への不満や不信は、そもそもガバナンスの混乱が主な原因と思われるため、情報発信・管理についても「原発震災管理官」に一元化することで、そうした不満へも徐々に対処できると考える。

② 異常事態終結に向けた石棺化への早期転換
現時点(4月4日)では、1~3号機の炉心や3/4号機の使用済み燃料プールの冷却のためにポンプ車で水を注入しているが、溶融した炉心の熱で蒸発するほか、高濃度の放射能で汚染した水がタービン建屋や海洋に漏れ出ていることが発見された。
その高濃度汚染水を取り除かないと全体の修復作業は不可能であるため、作業員が被曝限度いっぱいに被曝しながら、その高濃度汚染水を取り除く方向で検討されている。その汚染水の除去が成功してはじめて、通電による再循環ポンプ等の稼働試験ができるが、あれだけの大地震・大津波、そして相次いだ水素爆発や炉心溶融のあと、動作する見込みは乏しい。

しかも汚染した冷却水が圧力容器と格納容器から漏洩しているおり、高い放射線量下での補修作業も見通しが立たない。
このような中で、現状の施策を継続するままでは、いたずらに作業員の被曝を増大させ、放射能の汚染を拡大するだけであることから、当面の水注入はやむを得ないものの、早急に石棺方式へと出口戦略を転換する必要がある。ただし、未だに膨大な崩壊熱を持つ福島第一原発は、チェルノブイリ原発と同じコンクリートによる石棺処理は取れないため、除熱も可能な石棺化(金属閉じ込め、スラリー化など)を早期に研究開発する必要がある。これは、かつてどこにも知見のない措置であり、国際級の研究開発実証チームを必要とする。

③ 集中的・網羅的な広域放射能汚染モニタリングと予測シミュレーションの強化、広報周辺のモニタリング(空気、水、土壌、食品)を早期に拡充し、これをリアルタイムで情報提供するとともに、継続的に予測シミュレーションを行って、集団被曝線量を予防的に縮小してゆく努力を行う。

福島第一原発を中心とする100km 内の広域に、オンラインのモニタリングポストを集中的に設置して、網羅的なモニタリングを実施するとともに、周辺土壌へのフォールアウトや海水や地下水のサンプリング、上空大気の一定頻度でのサンプル採取、流通食品の検査など、網羅的・体系的に実施し、その予測値や影響可能性を含めて、広く国民に情報提供する。

そのための人員や資材には、縦割り行政のために遊休化している文部科学省所管の原子力研究機関のものを充てる。

④ 実測データと予測に基づく科学的な根拠で避難地域と対策を再設定し、被災者のケア徹底現状の同心円で定めた避難地域や屋内退避地域は、もはや意味をなしておらず、これを継続することは、地域住民の健康と安全を脅かすだけでなく、不安をいっそう煽ることにもなる。

今後は、実測データと予測に基づく科学的な根拠に基づき、現在の避難地域と対策を再設定し、これの実施を徹底するとともに、原発震災による被災者へのケアとフォローアップを徹底して行う。

⑤ 被曝の懸念される作業員および周辺公衆の長期的な追跡・ケア体制の構築
大量の被曝を強いられている作業員や晩発性の放射線影響も懸念される周辺公衆については、長期的な追跡調査体制を構築した上で、全数の長期フォローアップとケアを実施する。

そのため、作業員や周辺公衆に対して、「福島原発被曝手帳(仮称)」を配布することを提案する。また、手帳所持者の被曝治療については、当事者負担をゼロとする。

⑥ 恒久的な事故処理機関の設立
福島第一原発の事故は、収束に複数年単位の期間を要し、その後の管理は100 年単位に及ぶことは避けられない。したがって、これに対処するための恒久的な事故処理機関を設置する必要がある。

その資金は、東京電力からの拠出のみならず、高速増殖炉もんじゅを所管し年間2000 億円にものぼる予算で運営されている(独法)日本原子力研究開発機構の予算を振り替えることを前提として、原子力発電施設解体引当金や再処理等積立金など、既存の原発予算を転用する。

人員についても、日本原子力研究開発機構など既存機関の人員を活用することを基本とするが、「原発震災管理官」をトップとする責任所在の明確なガバナンスを確立し、トップクラスの国際研究機関の参加を得て、実効性ある体制を整える必要がある。

⑦ 産業への影響把握と対応
福島第一原発事故は、近隣の農産物の国内での販売困難化だけでなく、海外への輸出について、農産物だけでなく、鉄鋼などの素材工業製品、機械製品その他が日本産であるということで禁止されたり個別検査を余儀なくされ、いったん放射線量などが先方の基準をこえれば船舶ごと返される事態も生じている。また海外からの観光客は激減し、航空便や船便自体が運行停止になったところもある。このように原発事故が日本の産業全体に危機をもたらし、日本の産業の国際競争力を破壊しつつある。雇用への影響も計り知れない。

海外が日本に向けている不安は、日本製品は「健康にただちに影響するレベルでない」などという説明で取り除くことはできないし、WTO の自由貿易原則をたてに輸入を迫っても受け入れられるわけがない。上記1~6の対処を行うことが不可欠である。

⑧ 東京電力が全賠償責任を負った上で、不足分は原発埋蔵金(再処理等積立金約3兆円等)を活用
福島原発で被災した方々の健康や財産への補償とその後のフォローアップについて、事業者である東京電力による賠償責任を大前提としつつ、国は全面的に支援する。
国が補償するに当たっては、公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センターにおよそ3兆円(2011 年4月現在)積み立てられている再処理等積立金を優先して充当する。その他、原子力関連の独立行政法人や公益法人を徹底精査し、補助金を全面的に引き上げるとともに、積立金等がある場合、それを充当する。

2. 原発震災の教訓化戦略
国内のみならず国際社会において、二度と原発震災を引き起こさないために、技術から政策決定の面に至るまでの総合的な「事故調査委員会」を設け、事故の構造的な要因を徹底的に洗い出す。
また、得られた情報や知見は、国内外に全面開示する。

① 当事者・利害関係者を排除した独立的な「事故調査委員会」の設置
捜査を行う警察と検察による調査(事故の原因が特定個人の故意または過失によるものかを吟味し、必要により加害者を刑事訴追するための調査)ではなく、事故再発防止の観点から調査・分析・勧告を行うなどの機能を果たす事故調査機関を中立機関あるいは行政機関として、総合的な「事故調査委員会」を設立し、構造的な要因を洗い出す。

従来の原子力安全行政のあり方やエネルギー政策・原子力政策のあり方は、国と事業者が馴れ合いで空洞化し、ほとんど機能不全に陥っていたことも、今回の事故の人災的な深因の一つである。

したがって、委員の選任に当たっては、従来の政策決定に携わった者及び利害関係者を排除することが不可欠である。

また、原子力安全委員会や経済産業省など、既存の原子力関係行政機関も調査対象となることから、委員会は首相直属とする。委員会事務局についても、それらの関係行政機関に所属する者を排除し、既存の原子力行政や業界としがらみのない人材を官民から集める。

権限についても、現場保全、報告徴収、質問、立入り、物品収取、資料提出要求、事故に関係する物品の保全や移動禁止要請、事故現場への立入制限、死体解剖等、強力な調査権限を持つ組織とする。また、必要に応じて捜査機関の協力を得られるようにする。

② 安全基準体制や原子力・エネルギー政策を射程に入れた構造的な事故原因の「聖域なき」分析
「事故調査委員会」では、事故の直接的原因分析に留まらず、そうした構造的な要因に遡って、事故の背後に潜む根本的原因について、聖域を設けず、徹底的に検証することが求められる。なお、事故の直接的原因分析はもとより、安全基準のあり方・原子力政策やエネルギー政策のあり方に踏み込んだ調査を行う。

③ 調査で得られた情報・知見の全面開示
「事故調査委員会」で得られた情報や知見は、二度と同様の事故を起こさせないために、国内はもとより、国際社会とも共有する。そのために、調査で得られた情報・知見は、全面開示する。また、全情報・知見を少なくとも英語に翻訳し、国際社会で容易に利用できる国際公共財とする。

3. 原子力安全行政の刷新戦略
既存の原子力安全行政は、国会審議や裁判も含めて、原発震災に関する事前の指摘を様々に受けていた。また、数々の原発事故隠しも発覚していた。それにもかかわらず、既存の安全行政は、原発震災を防げなかったどころか、その早期収拾にも失敗した。こうした失敗行政機関を抜本的に見直し、人心一新して独立性の高い安全規制機関を新設する。

① 緊急措置として、中部電力浜岡原発を含む同型炉・地震リスク炉の緊急一時停止
原子力安全・保安院は、2009 年7月に見直し後の新耐震基準に沿って福島第一原子力発電所・第二原子力発電所に対して安全性を確認していたが、今回の事故によって、新耐震基準や原子力安全行政のあり方が根本から問い直されている。
直ちに、福島原子力発電所と同型炉ならびに同程度の地震・津波リスクのある原子力発電所(浜岡原発など)は、緊急停止を行った上で、原子力安全行政の体制を抜本的に見直し、安全基準を見直した上で、安全性のバックチェックを実施する。

② 人心を一新した独立性の高い原子力安全規制機関を新設し、実質的な安全確保を目指す原子力安全・保安院は原子力推進の資源エネルギー庁と同じ経済産業省に属し、中立性にはかねてから疑問が出されていた。しかし、機能する原子力規制組織、立案組織をつくるには原子力安全・保安院の組織を経済産業省から形式的に分離するだけでは不十分であり、形式的に独立している原子力委員会、原子力安全委員会についても改正が必要である。

馴れ合いで空洞化していた旧来のエネルギー行政・原子力行政の体制を一新し、温暖化政策とエネルギーリスクへの対応、規律と実効性のある原子力安全行政を確立するため、人心を一新し、国家行政組織法第3条に基づく、公正取引委員会をモデルとする独立性の高い「原子力安全規制委員会(仮称)」を内閣府に新設する。
既存の原子力安全規制機関(原子力安全委員会、原子力安全・保安院、原子力安全基盤機構)は、完全に廃止する。
これによって、規律と実効性のある原子力安全行政を確立し、事業者に依存した馴れ合いの安全行政から脱却し、実質的な安全性を担保できる新基準を確立し、完全に独立した評価機関による安全評価を実施する。

③ 全リスクをカバーする無限責任保険を原則とする原子力損害賠償法の見直し
現状の原子力損害賠償法に基づく保険(原子炉で最大1200 億円)は、今回の事故に照らして過小であったことがはっきりとした。最悪の事象では、当事者の電力会社が倒産して弁済してもなお、甚大なる国民負担の恐れがあることから、原則として、原子力損害賠償については「無限責任・天災免責なし」を保証する保険のあり方を適用する。

4. 原子力・エネルギー政策の転換戦略
エネルギー基本計画に定められたような、原発の大規模新設を前提とする既存の原子力・エネルギー政策路線は完全に非現実的であり、原子力・エネルギー政策を抜本的に見直す必要がある。

① 原発新増設と核燃料サイクル事業の即時凍結
原子力政策や原子力安全行政の抜本的な見直しとその方向性が定まるまで、現時点で進む原発の新増設や核燃料サイクル事業については、すべてこれを即時凍結する。投入される予定だった関係する公費は、すべて事故処理に充てる。

② 環境視点の開かれたエネルギー政策機関の新設
既存のエネルギー政策行政機関(原子力委員会、資源エネルギー庁、総合資源エネルギー調査会)は、原発事故リスクを直視せず、強力かつ閉鎖的に原子力政策を推進してきた責任を明確にするため、すべて廃止する。
これらに代えて、環境視点で開かれたエネルギー政策へ転換するため、内閣府の重要政策会議(総合科学技術会議など)として「総合エネルギー戦略会議」を設ける。その下に、執行機関として「環境エネルギー庁」を置く。それらに参画する有識者及び官僚は、従来のエネルギー政策を推進してきた者を排除し、人心を一新する。

③ 全国ヨコ串の一体的な送電会社を創設し、電力市場を抜本的に改革する
今回、誰の目にも明らかになったのは、独占市場のもとで形成されてきた「鎖国的な地域独占体制」の脆弱さである。また、西日本の発電所が機能するのに、東日本の需給逼迫に対応できず、電力会社ごとのいびつな送電網が、従来から問題になっていた再生可能エネルギー普及の障害だけでなく、安定供給にも致命的であることが明確になった。

福島原発の被害補償と廃炉措置を抱える東京電力が、もはや自力では安定供給どころか経営再建も困難な見通しを踏まえ、発送電分離を視野に入れた新しい電力市場の創設とオープンで自由かつ環境保全的な電力政策を策定する。

④ 自然エネルギーとエネルギー効率化(総量削減)を柱とする新しいエネルギー政策の確立
今後、日本の電力供給とエネルギー供給の根幹を、総量削減に繋がる省エネルギー・エネルギー効率化と地域分散型を軸とする自然エネルギーに据える。

その上で、折しも東日本大震災と同日に閣議決定された「再生可能エネルギーの全量買取制度」を活用して、自然エネルギーの全面的かつ加速度的な普及を目指すことで、中長期的なエネルギーリスクと温暖化リスクを回避するとともに、短期的な震災後の復興経済の活性化を狙う。

⑤ 気候変動政策・低炭素社会構築としたエネルギー政策との相乗的な統合
大量エネルギー消費維持&原子力拡大が、気候変動政策(地球温暖化対策)の選択肢としては相容れないことがはっきりした。従来型経済・エネルギー政策を前提に気候変動政策を押さえ込む意味の「環境と経済の両立」ではなく、気候変動政策の目標をエネルギー政策としても追求し、発電所を対象に含めた総量削減型の排出量取引制度の導入など、温暖化対策の本流である省エネ・燃料転換・再生可能エネルギー普及をエネルギー政策においても柱にし、実質的で相乗的な統合を行う。

⑥ 原発国民投票による国民的議論の活性化と原子力政策の見直し
このたびの福島第一原発事故は、1に述べたように日本の産業活動を広範囲に破壊し、かつ製造業などの輸出競争力や観光産業などに致命的な打撃を与えつつある。これまでこうしたリスクについては、地震や津波について科学者などの指摘を無視した低い想定、緊急炉心冷却装置への根拠のない信頼を前提に、事故がないとされてほとんど顧みられることがなかった。その破壊力が現実のものとなった今日、事故リスクを評価し、全面撤退も視野に入れた厳しい姿勢での検討を行うことが必要である。
基本的には原子力リスクを最小化するため、核燃料サイクルの見直しと今後の新増設の中止、段階的な縮小、原子力立地自治体への補償、高レベル廃棄物など廃棄物処分の取扱等について、国民のコンセンサスを上で、具体的な措置を定める。
具体的には、以下のような事項を検討する。
・ 原子力基本法を見直すとともに、原子力委員会を「総合エネルギー戦略会議」に統合する。とくに、原子力の研究、開発、利用の促進の再検討(第1 条関係)についての見直しが必要である。
・ エネルギー政策の観点から原子力政策のあり方について国民投票を実施し、今後の原子力政策の方向性について、国民の信任を得ることが必要である。
・ 原子力立地地域に対して、立地交付金や電源開発特別会計の使途の見直しを含めた原子力振興行政の抜本的に見直す。たとえば原発の廃炉を前倒しで選択した地方自治体が財政的に困窮しない支援策に配慮する必要がある。

5. 緊急エネルギー投資戦略
計画停電や電力供給不足など、電力供給政策の失敗による経済への悪影響を最小限に抑えるとともに、エネルギーシステム改革のための投資を需要喚起の柱とする。そのために必要な投資を、公的資金でスムーズに行えるよう、東京電力と東北電力の送電設備を公有化する。

① 計画停電に代わる短期的な電力需給調整
今年の夏までは首都圏において厳しい電力需給が続くため、以下の措置で対応する。
・ 供給側では、既存の休止火力発電や自家発電、他電力からの電力融通を最大限活用する
・ 需要側では、電気事業法第27 条(電気の使用制限等)を発動した上で、公共交通機関や医療機関などライフラインを優先した上で、自発的かつ広範な省エネ努力に加えて、需給調整契約を活用した市場メカニズムによる弾力的な対応(たとえば、電力ピーク時にカットオフする優先順位を契約し、報奨金を出し、国は報奨金を補填する)
・ 工場や業務ビルの省エネ診断と、オーバースペック設備停止などを計画的かつ広範に実施。
・ 計画停電は実施しない。

② 自然エネルギーと送電設備への集中的な緊急設備投資と債務保証制度を用いた地域資金の活用
自然エネルギーは、極めて短期間に需要を創出できるため、全面的かつ加速度的な普及を目指す。
・ 送電設備:
 東西の周波数変換容量を現在の100 万kW から500 万kW、そして1000 万kW を目指して設備投資を行う
 高圧直流送電線(HVDC)などを用いて北海道および東北からの送電線の増強(現状の60 万kW を500 万kW スケールに) その他、風力発電や太陽光発電を大規模に導入する上で、ボトルネックになる地域を優先して、送電線や変電所の整備を行う
・ 自然エネルギー:
・ 全量買取制度における買取価格を投資が活性化される程度に充分高い価格に設定し、その追加負担(回避可能原価を除く)は、広く国民負担とする
・ 新設される「送電会社」はその自然エネルギーを優先して購入する義務を負うものとする。
・ 一定の基準を満たす自然エネルギー事業に対して、国は債務保証措置を行う
・ 事業にあたっては、地域の金融機関や地域コミュニティの参加を前提とする

③ 公的投資を促進する東京電力・東北電力の送電設備公有化
東京電力・東北電力管内の送電網を公的資金により、短期・集中的に近代化する。特に東西周波数については、10 カ年計画で東日本の周波数を西日本に適合させる。それを推し進めるため、第一段階として東京電力と東北電力の送電網を公有化する。

6. 段階的な原発縮小と気候変動・低炭素社会戦略
気候変動政策・低炭素社会構築にエネルギー政策の転換を反映させる。そして、段階的な原発縮小と整合しうるエネルギー・気候変動政策を確立する。

① 自然エネルギーの飛躍的普及を目指した高い目標設定と実効的な政策への刷新
今後、日本の電力供給とエネルギー供給の根幹を、エネルギー効率化(省エネルギー)と自然エネルギーに据えることが必須である。そのため、政治的に自然エネルギー導入の高い目標を据えて、これを実現するためにエネルギー政策を実効的なものへと刷新する。
・ 2020 年に電力供給の自然エネルギー20%増(既存の水力・地熱を含めて30%)
・ 2050 年に電力供給の自然エネルギー100%へ

② 需要プル手法による省エネルギー政策・総量削減政策による2050 年に現状比5割削減欧州を中心に成功しつつある再生可能エネルギー普及政策にならい、省エネについても我慢による数%程度の削減ではなく、エネルギー量を中期的に半減する大幅削減目標と、その手段の一つとして「需要プル型」の手法を定めていく。

③ 段階的な原発縮小と実効的な気候変動政策と低炭素経済社会構築戦略の立案・公表
気候変動政策を、省エネ・燃料転換・再生可能エネルギーの拡大で実現する。
・ 温室効果ガス排出量目標:2020 年に1990 年比25%以上の削減を国内削減により実現。2050 年に1990 年比80-95%削減を実現。
・ 原発に依存しない2020 年一次エネルギー供給目標を、従来の「原子力ムラ」構成員中心ではなく、新しい体制によるステークホルダー全体参加で構築
・ 従来の大量エネルギー消費と原子力拡大前提でない、気候変動(温暖化防止)政策、エネルギー政策の積極的戦略的統合。
・ 低炭素経済社会移行を戦略的に進め、再生可能エネルギー産業、省エネ産業を市場プル型で育てて行く。
以上

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検証・大震災:初動遅れ、連鎖 情報共有、失敗(その1)
 ◇福島第1原発、津波…燃料棒溶融…爆発 
 ◇3.11から2日間、官邸・保安院・東電は

 東日本大震災は国内未曽有の原発事故を引き起こした。首相官邸や東電、防衛省・自衛隊はどう対処したのか。米国の動きは。発生直後からの2日間を追った。【震災検証取材班】

 ■発生 11日14:46
 ◇暗闇の建屋脱出30分 「はぐれるな、手をつなごう」
 ◇「全員官邸に集合」 閣僚右往左往

 その時、東電の下請け会社に勤めるベテラン従業員は福島第1原発4号機タービン建屋の地下1階で鉄材の切断作業をしていた。11日午後2時46分、激しい揺れに必死で配管にしがみつく。

 「足場が倒れたら危ない」。3人の同僚と声をかけ合っていると突然、照明が消えた。暗闇の中、危険箇所を示す電池式の警告灯だけが赤く点滅している。

 頭が混乱して方向感覚がない。「はぐれたら大変だぞ。手をつないで行こう」。警告灯を懐中電灯代わりに、4人は一列になって1階に向かった。外に出られたのは30分後だった。

 1号機の「廃棄物処理建屋」で下請け会社の社員、菅波秀夫さん(60)は足場材の搬出作業をしていた。作業場の監督が中央制御室に連絡して急いで扉のロックを解除させ、仲間6人で出口に通じる隣の建屋に入った。だが、ほこりが立ちこめ視界がきかない。仕方なく作業場に戻ると照明が切れ、鉄骨が揺れる音だけが響く。どこからか声がした。「おれらについて来い」。それを頼りに出口をめざした。

 下請け会社を経営する小川喜弘さん(53)は放射性廃棄物を処理する「集中環境施設」の建屋4階で非常用バッテリーの点検をしていた。揺れが収まって階段を下りると、すぐに大津波警報が出た。4号機で定期点検中の作業員100人以上と高台に向かって逃げた。1号機の建屋の壁が崩れているのが見えた。

 避難所から自宅のある浪江町に戻った時、その光景にがくぜんとした。「人っ子一人いない。これは死の町だ」

 築50年を超す福島県庁舎が強い揺れに襲われた時、佐藤雄平知事は2階会議室で地元新聞社のインタビューを受けていた。5階建ての本庁舎は倒壊のおそれがあり、県は隣の県自治会館に災害対策本部を設置する。救助を求める声が対策本部を飛び交う。原発は後回しだ。3時10分すぎ、本庁舎で受けた第1、第2原発からのファクスには「全原子炉が自動停止」とあった。

      ◆

 福島第1原発から約200キロにある東京の国会議事堂。菅直人首相は、全閣僚とともに参院決算委員会に出席し、新聞報道で表面化した外国人献金問題を巡って集中砲火を浴びていた。

 激しい振動に天井のシャンデリアが大きく横に揺れ、立ち上がる首相のそばに松本龍防災担当相が駆け寄った。4分後には鶴保庸介委員長が「暫時ちょっと休憩」と宣言したが、委員会が再開されることはなかった。

 首相側近の江田五月法相は「全員官邸に集合」という大声に押されて首相官邸へと公用車で駆けつけた。官邸内の危機管理センターへと向かうためエレベーターで地下に下りたが、物置のような場所に出てしまった。

 中野寛成国家公安委員長らと出くわし、地上に上がるため乗ろうとしたエレベーターがストップ。じきに「防災相を除いて各省待機」の連絡が伝わったが、官邸は早くも混乱を極めていた。

      ◆

 「最初は人命救助、次は避難民対策だ」。参院第1委員会室を飛び出した北沢俊美防衛相は防衛省にいた小川勝也副防衛相に自衛隊出動に備えるよう指示を出したが、水面下では救命とは別の情報収集が始まった。

 福島第1原発から約60キロにある陸上自衛隊福島駐屯地(福島市)。原子炉が自動停止した原発の情報収集に乗り出した。防災訓練など日ごろから原発側との情報交換を欠かさず、作業はスムーズだった。

 「自動停止しており、今のところ問題はない」。東京・市ケ谷の防衛省メーンビルA棟地下3階にある中央指揮所(CCP)に駐屯地からの現地情報が伝わったのは地震発生から約1時間後の午後3時55分。その約20分後には「放射能漏れもない」との現地情報が新たに加わった。

 すでに自衛隊は被災地派遣の準備が始まっていた。部隊配置や移動状況などが大きなスクリーンに映し出される中央指揮所の作戦本部・オペレーションルームに姿を見せた折木良一統合幕僚長は号令をかけた。

 「全国の部隊を東北方面に集中して救援に当たるように」

      ◆

 東京都千代田区の東電本店。出張で不在の勝俣恒久会長らに代わって対策本部の指揮を執る藤本孝副社長は、補助電源で薄明かりがともる第1原発の中央制御室から、第1、第2原発の全基停止を知らされた。

 「電力需要が少ない週末はなんとかできても、週明けは大混乱するかもしれんな」。藤本副社長はつぶやいた。この時、原発事故が放射能漏れまで引き起こすとは予想もしていなかった。

 ■異変 11日16:36
 ◇冷却系ダウン 会見場に駆け込み「15条事態」
 ◇保安院幹部「悪夢じゃないのか」 「大丈夫」一転、首相に一報

 大津波で状況は一変した。13台ある非常用ディーゼル発電機のうち、12台が使用不能に陥った。さらに官邸を震撼(しんかん)させる緊急事態が起きたのは地震発生から約2時間後の午後4時36分。「炉心溶融」を防ぐための冷却システムがダウンした。このままでは、核燃料の損傷や放射性物質の外部漏えいにつながる。

 東京・霞が関の経産省で原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官が記者会見していた最中だった。「蒸気タービンで駆動する冷却系が働いている。バッテリー(蓄電池)は7、8時間は保持される」

 会見を終えて中村審議官が席を立とうとした午後5時前。血相を変えた保安院職員が「東京電力から15条事態と判断したと連絡がありました」と会見室に飛び込んだ。「15条とは何だ」と騒然とする報道陣に「詳細は後ほど」と繰り返すばかりだった。

 原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく15条通報は、原子炉内に注水できず冷却機能を失うことに代表される重大な緊急事態の発生に適用される。1、2号機は注水が確認できなくなっていた。

 これに先立つ午後3時42分には、全交流電源が失われ、冷却機能の喪失につながりかねない事態になった。東電は15条の一つ手前のトラブルとして10条通報した。「10条でさえ通報が来るなんて考えもしなかったのに、より深刻な15条なんて。悪夢じゃないのか」。保安院幹部がうめいた。

      ◆

 東電の武藤栄副社長が「発電所を見てきます」と言い残してヘリコプターで福島原発へと飛んだのは午後3時半。まだ冷却系統は作動していたが、東電内でも危機感が広がり始めた。原子力部門の幹部は「15条も適用した方がいい」と考えていた。

 東電本店2階の対策本部はすべての電源を失ったことに困惑の度を深めた。こうした事態を想定した「シビアアクシデントマニュアル」に沿って管内の事務所などから電源車をかき集める作業を始めた。

 「6台は確保できそうだ」。だが、東電から報告を受けた保安院幹部に疑念がよぎる。「仮に電源が復旧しても地震や津波で計器類だって損傷しているはず。簡単に事が進むだろうか」

      ◆

 原発事故を巡る行政機関の情報伝達ルートは「東電→経産省原子力安全・保安院→首相官邸」という流れで、通常は官邸が直接、民間企業の東電に指示・命令することはない。「原発有事」に発展するまで首相はもっぱら保安院から「原発は大丈夫です」との報告を受けていた、と複数の政府高官は指摘する。

 首相が「冷却機能不全」という事態急変を知ったのは、東日本大震災発生後、首相官邸で初めての記者会見に臨む直前だった。だが、午後4時54分からの会見では「日本の総力を挙げる」と表明し、原発事故には「一部の原子力発電所が自動停止したが、外部への放射性物質の影響は確認されていない」と触れただけだった。

 首相はこのころから原発事故対応へとのめりこんでいく。公邸の伸子夫人に電話した際、「東工大の名簿」を求めた。母校の専門家からアドバイスを受けようとしたためだった。

 「私は原子力に詳しい」との自負を後に漏らす首相。そこからは「原子力村」と呼ばれる電力業界、経産省、東大研究者が原子力政策を支配するシステムへの対抗意識がうかがえる。伸子夫人は東工大時代の首相の友人を通じて名簿を官邸に届けた。首相はその後東工大出身の日比野靖・北陸先端科学技術大学院大副学長ら3人を内閣官房参与に迎えることになる。

      ◆

 「え、本当に大丈夫なのか」。午後5時前、各駐屯地などからの電話で「パンク状態」だった防衛省・中央指揮所内が一瞬、ざわめいた。それまでの「安全」とは異なり、首相官邸に詰めている統幕の連絡要員から「放射能が漏れている模様。ただし、大きな被害にはならないだろう」と異常事態の情報が伝わったためだ。

 原災法に基づき、首相が「原子力緊急事態宣言」を発令するのは時間の問題だとの情報も駆け巡った。

 官邸から原子力災害対策本部設置と「午後6時半から会議」との連絡があり、防衛省は午後6時過ぎ、「首相が原子力緊急事態宣言を発令する」との情報を漏らしたが、会議がずれ込みいったんは先送りされた。

 しかし、これを織り込み「原子力災害派遣実施部隊の長はただちに派遣準備を実施する」と定める防災業務計画に基づき、午後6時35分に陸自朝霞駐屯地(埼玉県など)の中央即応集団110人、化学防護車4台を待機させ、準備態勢を整えた。

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 ■ことば
 ◇10条通報、15条通報

 原子力災害対策特別措置法に基づく。10条は、原子力事業所の原子力防災管理者(福島第1原発では発電所長)は、敷地境界付近で基準以上の放射線量を検知するなどした場合に主務大臣(東電の場合は経済産業相)などへの通報が義務付けられている。15条は、さらに厳しい事態の場合、主務大臣は首相に報告し、首相は原子力緊急事態を宣言する。


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検証・大震災:初動遅れ、連鎖 情報共有、失敗(その2止)
 ◇福島第1原発、津波…燃料棒溶融…爆発 
 ◇3.11から2日間、官邸・保安院・東電は


 ■厳戒 11日19:03
 ◇「国の指示待てぬ」 福島県が避難要請
 ◇非常用電源切れ 電源車、適合ケーブルなし

 原発の異常事態は時間とともに深刻さを増していった。「安全神話」を揺るがし、「原発震災」に直面した。「現行法ギリギリであらゆる措置を取るという考えだ」。周辺は菅直人首相の決意をこう表現した。

 午後7時3分、首相は冷却系が機能不全に陥る危険性を指摘し、初めて原子力緊急事態宣言を発令。午後9時23分、半径3キロ圏内の住民に避難指示を出した。12日早朝には10キロ、同夕には20キロと範囲が拡大していく。

 発令に当たっては秘書官らが六法全書と首っ引きで首相権限を調べた。原災法に基づき15条事態になれば自動的に同宣言が出され、政治判断をはさむ余地はないが、ある閣僚は「かなり強力な権限が首相に与えられる」と語った。

      ◆

 福島県も原発事故の恐怖に振り回された。原発崩壊の真偽が定かでない情報が飛び交った。

 国の指示に先立つ午後8時45分の県災害対策本部会議で原子力災害担当の荒竹宏之生活環境部次長が「2号機で炉心溶融の可能性」と報告。5分後に県は、半径2キロの住民に権限も前例もない避難要請を出した。佐藤雄平知事は「未曽有の被害。人命を最優先に、速やかに避難をお願いしたい」と災対本部前でテレビカメラに呼びかけた。

 3キロ以内の住民は約5800人だが、10キロでは約5万人、20キロでは約8万人に膨れ上がる。国に先立つ避難要請を荒竹次長は「細かい点を確認している余裕などなく、国の指示を待てる状況ではなかった」と振り返る。

      ◆

 原子炉の暴走を事前に食い止める「冷却作戦」が官邸、経済産業省原子力安全・保安院、東電のもとで進められた。

 対処方針は冷却システムを再起動させるための電源車をバッテリーが切れる7~8時間以内に福島第1原発に集めることだった。電源喪失が午後3時42分。タイムリミットは午後11時前後から12日午前0時前後。時間との闘いだった。ひとまず東電が集めた6台が福島に向かったが、陸路の輸送は困難を極めた。

 「福島まで緊急車両は通れるのか」。首相は大畠章宏国土交通相に電話で交通状況を確認。執務室にはホワイトボードが運び込まれ、電源車の現在地が刻々と書き込まれていった。しかし、思わぬ誤算が生じた。

 電源を失った1~3号機のうち、最初に危機に陥ったのは2号機だった。当初、原子炉の余熱でタービンを回し、冷却に必要な水を炉内に引き込む「隔離時冷却系」が作動し、炉内の水位を保っていた。

 だが、隔離時冷却系が午後8時半に突然止まり、炉心の冷却ができなくなった。このままだと核燃料が出す熱で炉内の水が蒸発し、燃料棒が水面から露出する恐れがあった。水面から出た燃料棒はさらに高温になり、いずれは破損し、核燃料が溶け出してしまう危険があった。

 待望の電源車が福島第1原発から約5キロ離れた、国の対応拠点「福島オフサイトセンター」(福島県大熊町)に到着したのは午後9時過ぎ。東北電力から提供された電源車2台だったが、ここでトラブルが発生する。

 電源車が高電圧だったため接続に必要な低圧ケーブルが用意されていなかったのだ。つなぎ口も津波で浸水していた。午後9時20分には福島オフサイトセンターの非常用電源が切れた。東電社員を含む職員ら15人は隣接する福島県原子力センターに移動したが、ファクス1台。パソコンはなかった。

 電源車の到着から2時間以上たった午後11時20分からの保安院の記者会見で山田知穂原子力発電安全審査課長は「電源車は接続されず、電源は回復していない」と作業難航を認めざるを得なかった。

 1、3号機はともにタイムリミットの12日午前0時を過ぎてもバッテリーは働いていた。問題の低圧ケーブルはようやく調達できたが、「関東から空輸準備中」(原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官)で作業員も足りないというありさまだった。

 2号機の水位は安定し、このころはほかにも低電圧を含む2台の電源車が到着していたが、山田課長は午前0時50分過ぎの記者会見で心もとなげに語った。「今来ている電源車では、多分足りないと思う」

 政府高官は「東電のオペレーションは準備不足で、行き当たりばったりのようだった」と振り返る。

      ◆

 原子力緊急事態宣言を受けて午後7時半、北沢俊美防衛相が自衛隊始まって以来初の原子力災害派遣命令を発令。核・生物・化学(NBC)兵器に対処する「中央特殊武器防護隊」(中特防)が出動した。

 だが、もともとの防護隊の任務はNBCで攻撃された時に放射性物質を検知し、安全な場所に部隊を誘導すること。原子炉の知識はなく、防護服や化学防護車などの装備も「防護服は外部被ばくには十分対応できない。化学防護車に中性子を遮る防護板がついたのもJCO事故以降」(陸自幹部)というのが実情だった。

 ■混乱 12日未明
 ◇「ベント」放射性物質放出へ ためらう東電
 ◇ヘリで現地視察の首相「早くやれ」

 「22時50分 炉心露出」「23時50分 燃料被覆管破損」「24時50分 燃料溶融」--

 11日午後10時、原子力安全・保安院は、原子炉内の水位が下がった2号機で何が起こるのかを予測、官邸に報告した。12日午前3時20分には格納容器内の圧力上昇が予測されていたため、弁を操作して高温の水蒸気を外部に逃がす「ベント」作業が必要と分析した。格納容器の破損を防ぐためとはいえ、意図的に放射性物質を外界に放出する「最後の手段」とも言える荒業だ。

      ◆

 事態は、冷却機能が働いていたはずの1号機でも深刻化していた。徐々に水位が下がり、燃料棒が最大90センチ露出し、原子炉格納容器の圧力が上昇。損傷の危険性が高まった。

 断続的に保安院で開かれた会見で「この事態を想定していなかったのか」と質問が記者から相次ぐ。保安院は「あらかじめ準備されているということではない」と苦しい弁明に終始した。

 一方、首相官邸では11日午後11時過ぎ、地下の危機管理センターで首相や海江田万里経産相、班目(まだらめ)春樹・原子力安全委員長、原子力安全・保安院幹部を交えて対応を協議。「早くベントをやるべきだ」との意見で一致し、東電側と連絡を取った。

 12日午前1時半には海江田経産相を通じて東電にベントで圧力を下げるよう指示。しかし、東電側からは、できるかどうか明確な返答はなく、いらだつ官邸が「何なら、総理指示を出すぞ」と威圧する場面もあった。

 それでも保安院の中村審議官は午前2時20分過ぎの会見で「最終的に開ける(ベントする)と判断したわけではない。過去にベントの経験はない。一義的には事業者判断だ」と説明した。

      ◆

 午前3時、東電は官邸に「2号機は冷却装置が働いている」と報告した。それでも、官邸にいた班目委員長は「これからベントですね」と語った。

 ほどなく、海江田経産相と小森明生・東電常務が会見した。海江田経産相は「ベントを開いて圧力を下げる措置を取る旨、東電から報告を受けた」と説明し、すぐに小森常務にバトンを渡した。これに対し、小森常務は「国、保安院の判断を仰ぎ、(ベント実施の)判断で進めるべしというような国の意見もありまして」と述べる。「東電の判断」という海江田経産相の説明と微妙な違いを見せた。

 方法は、水蒸気を直接大気に出す「ドライベント」ではなく、いったん水にさらして放射性物質を100分の1程度に減らす「ウエットベント」だった。いずれにしても前例がない。

 会見で、小森常務は当初、2号機でベントを実施すると表明したが、代わった東電の担当者は「今入った情報では、2号機は冷却機能が働いていると確認できた。1号機になるかもしれない」と説明した。記者を混乱させた。

 原発敷地内では放射線量が上昇し、保安院は午前6時、1号機の中央制御室で通常の約1000倍の放射線量が計測されたと発表した。原発正門付近でも通常の約8倍を記録した。今回の東日本大震災で初めて放射性物質の漏えいが確認された。

 政府は原子炉等規制法に基づき、東電にベントをするよう命令した。午前6時50分だった。

      ◆

 午前6時過ぎ、首相は班目委員長らと官邸ヘリポートから陸上自衛隊の要人輸送ヘリ・スーパーピューマで福島第1原発へ飛び立った。首相は線量計を携帯していた。午前7時過ぎ、同原発に着いた首相は大地震に耐えられる免震重要棟に移った。

 「そんな悠長な話か。早くベントをやれ」

 首相の怒声が響く。未明に指示したベントはまだ実施されていなかったからだ。現場を熟知する吉田昌郎福島第1原発所長は実施を約束。この後、官邸は東電本店よりも吉田所長に信頼を置くようになる。

 ■崩壊 12日15:36
 ◇指示から9時間、ようやく開始
 ◇東電「ガスボンベ爆発では」 首相「東電つぶれる」

 官邸からの再三の要請を受けて、東電では福島第1原発で現地の作業員らが冷却機能を失った原子炉の圧力を下げるため、炉内から水蒸気を外部に出すベントの準備に取りかかっていた。当初は2号機のベントが想定されたが、途中から1号機の原子炉格納容器の圧力が上昇していることが分かり、こちらを優先することになった。

 東電の原発事故時のマニュアルには手順も書かれているが、放射性物質を含んだ水蒸気を原発の外部に出すという初の事態に「福島の現場も東京の東電本店も緊張した」(保安院幹部)。しかも、停電で原子炉から水蒸気を放出するための圧力弁は自動では作動せず、放射線量が高い格納容器周辺に作業員が行き、手で弁を開く必要があった。停電で真っ暗な中での準備作業は難航。首相の視察後もなお現場は「ベントを開始できるまで、どれだけ時間がかかるか分からない」という状況だった。

 1号機の格納容器内の圧力は午前4時半には、通常の2倍超の8・4気圧に達し、核燃料が溶ける「炉心溶融」がいつ起きてもおかしくなかったが、ようやくベントが開始できたのは午前10時17分だった。

      ◆

 「ドーン」。震災対応をめぐる与野党党首会談が行われていた午後3時36分、福島第1原発1号機の原子炉建屋がごう音を立て、白い煙を噴き上げた。圧力が上昇した格納容器から漏れた水素が建屋の上部にたまり、空気と反応して水素爆発を起こしたのだ。テレビ画面では福島中央テレビが撮影した煙を上げる1号機の様子が生中継され、アナウンサーが興奮した声で爆発のニュースを伝えていた。

 与野党党首会談を終えた菅首相は執務室に戻ったが、東電からも保安院からも情報は入っておらず、問い合わせにも東電は「建屋から煙が出ている」というだけだった。首相は「なぜ官邸にすぐに報告できない。こんなことをしていたら東電はつぶれる」と、東電から派遣された幹部を怒鳴りつけた。幹部は「タービン建屋に保管しているガスボンベが爆発した可能性もあります」と説明したが、テレビ映像を見た首相には、小さなトラブルには思えなかった。約1時間後、東電からの連絡で水素爆発らしいと分かり、厚いコンクリートで覆われた建屋の上部が吹き飛ばされたことが判明する。

 「重要な情報がすぐに上がるように、東電の原発担当者を官邸に常駐させろ」。しびれを切らした首相は執務室横の特別応接室に「私設本部」を設け、東電幹部と保安院を所管する海江田経産相をそこに詰めさせた。ある政府高官は「首相は海江田さんや東電幹部を質問攻めにする一方、実務にたけている官僚とは話すらしなかった。『政治主導』にとらわれ過ぎているのではないか」と危惧した。

 一方、東電本店では、詰め掛けた取材陣に広報担当者が「建物の被害はテレビでしか確認できていない。作業員を今、現場に向かわせているところ」と繰り返すばかりだった。午後6時ごろから会見した保安院も爆発の状況や被害など正確な情報を把握していなかった。

 首相周辺は「東電も保安院も原子力安全委も(深刻な事態から目を背けようと)ぐるになっていたとしか思えない」と批判。一方、保安院を傘下に持つ経産省幹部は「事態が最悪の方向に動いたため、官邸は東電や保安院をスケープゴートに仕立てようとしている」と漏らした。

      ◆

 「これから一体、何が起こるんだ」。防衛省では、1号機の爆発をテレビで知った北沢防衛相が経産省や保安院から情報が入らないことにいら立った。「事実が分からないと、どういう対応ができるか戦略が立てられない。自衛隊として何ができるんだ」--。語気を強める防衛相に、同省の緊張感は一気に高まった。

 自衛隊は、陸自の隊員4人が1号機の爆発直前まで消防ポンプ車2台で原子炉を冷やすため、水を注入していた。爆発当時は、原発から約5キロ離れた地点に下がっており、危うく負傷や被ばくを免れた。ある防衛省幹部は「非常用電源まで落ちているとは知らなかった。ベントももっと早くから行われていたと思っていた」と、東電や保安院への不信感をにじませた。

      ×

 東電は原発の「安全神話」が崩れていく現実を直視できず、初動の対応を誤った。官邸は政治主導にこだわりながら東電や保安院との緊密な連携を図れず、結束して危機に立ち向かえなかった。それは「想定外」という言葉でけっして片づけられるものではない。
 ◇情報不足に米も不信感 報道、日本特有を強調

 オバマ米大統領が大震災発生の一報をデーリー大統領首席補佐官から受けたのはホワイトハウスで就寝中の11日午前4時(日本時間同日午後6時)。午前9時半から電話で参加したナポリターノ国土安全保障長官らと緊急協議し、午前10時15分(同12日午前0時15分)にいったん中断して菅首相と電話協議に臨んだ。

 オバマ氏の関心は原発の現況にあった。首相は「今のところ放射能漏れの証拠をつかんでいない」と答えたが、オバマ氏は原発の安全システムが破損した最悪の事態を想定、チュー・エネルギー長官に対応を指示した。

 米政府が不満を募らせたのは情報不足だった。クリントン国務長官が11日、在日米軍機が「原発の一つに冷却材を運んだ」と述べ、その後事実誤認と判明したが、米国では情報不足が招いた「誤情報」と受け止められた。12日未明に日本に向かった米国際開発局(USAID)派遣の捜索・救助チーム75人に放射能対策の装備はなかった。

 原発政策を担う米原子力規制委員会(NRC)の対応は素早かった。11日中に担当技術者2人を東京に派遣。首相官邸に常駐を希望し、派遣人数を16日までに11人に増員したが、少ない情報は「日本不信」をあおった。

 NRCのヤツコ委員長は16日の下院公聴会で「使用済み燃料プールには水がないと信じている」と証言、「水はある」とする日本側と対立。ルース駐日米大使は「福島第1原発から50マイル(約80キロ)範囲の米国人退避」を勧告した。米国防総省も在日米軍に対し、50マイル以内に許可なしに立ち入ることを禁じた。米メディアがいっせいに「日本側の情報隠し」報道にかじを切ったのはこの前後だった。日本の避難指示に疑問が出され、米政府高官は「状況評価は『深刻』から『非常に深刻』になった」と振り返る。

 米国の原発建設は79年のスリーマイル島原発事故で中止となったが、オバマ政権が昨秋、原発推進を再開したばかりだった。しかも米国には福島第1原発1~5号機と同型炉が23基稼働しており、人ごとではなかった。

 原発推進派のロビイストたちは、米国の原発政策への影響を食い止めようと議員らに「日本の特異性」を説明。ワシントンのロビー団体「核エネルギー研究所」のフリント上級副所長は、ホームページにリンクされたビデオで「米国の原発は物理的にも、どう運営されているかについても、日本の原発とは全く違う」と強調した。

 原子力安全・保安院が原子力政策を進める経産省の傘下にあることにも「産業界と親密な関係にある原発行政」(ウォールストリート・ジャーナル)など「米国と異なる監視体制」を指摘、日本特有の事故との印象を与えようとしている。

毎日新聞 2011年4月4日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110404ddm010040035000c.html


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東電原発事故  4/4注目ニュース

以下、今日流れた原発事故関連の個人的に注目しているニュース。

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日本で公表されない気象庁の放射性物質拡散予測

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった。

 ドイツやノルウェーなど欧州の一部の国の気象機関は日本の気象庁などの観測データに基づいて独自に予測し、放射性物質が拡散する様子を連日、天気予報サイトで公開している。日本政府が公開しないことについて内外の専門家からは批判が上がっており、政府の原発事故に関する情報開示の在り方が改めて問われている。

 気象庁の予測は、国際原子力機関(IAEA)の要請に基づくもの。国境を越える放射性物質汚染が心配されるときに、各国の気象機関が協力して拡散予測を行う。

 同庁では、東日本大震災当日の3月11日から毎日1~2回、拡散予測を計算している。具体的には、IAEAから送られてきた放射性物質の放出開始時間や継続期間、どれくらいの高さまで上ったかを、風向きや天候など同庁の観測データを加えた上で、スーパーコンピューターに入力し、放射性物質の飛ぶ方向や広がりを予測している。
(2011年4月4日14時30分 読売新聞)


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気象庁拡散予測「公表すべきだった」…官房長官

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が放射性物質の拡散予測を連日行いながら、公開していなかったことに関し、枝野官房長官は4日午後の記者会見で、「少なくとも隠す必要のない情報。誤解を生まない説明を付けて、公表すべきだった」と述べた。

 気象庁の予測は、国際原子力機関(IAEA)の要請に基づくもの。国境を越える放射性物質汚染が心配されるときに、各国の気象機関が協力して拡散予測を行う。

 同庁では、東日本大震災当日の3月11日から毎日1~2回、拡散予測を計算している。
(2011年4月4日16時46分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110404-OYT1T00746.htm?from=navr


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福島原発:「天災ではない」佐藤栄佐久・前知事

2011年4月4日 12時11分 更新:4月4日 13時24分

 福島県知事在職中に、国の原子力政策に疑問を投げかけていた佐藤栄佐久氏(71)に、東京電力福島第1原子力発電所の事故について聞いた。佐藤氏は「深刻な事態は国の原子力政策が招いたもので、天災によるものではない」と強調した。【岩佐淳士、松本惇】

 --未曽有の事故に、東京電力は「想定外の事態」と繰り返した。

 ◆私でさえ安全と思っていた。経済産業省は「二重三重のチェックをしている」「自然災害による事故も絶対あり得ない」と言っていた。国がそれだけ言えば、地域社会が信用するのは当然だった。

 --88~06年の知事在任時、福島第1、第2原発で事故やトラブル隠しが発覚。安全管理に疑問を唱えていた。

 ◆原子力政策は、国会議員や福島のような立地県もタッチできない。政策の基本を定める長期計画策定会議のメンバーの大半は電力関係者の「味方」。政策を実際につくるのは経産省の官僚だ。彼らにとって、良いのか悪いのかは別問題で、一度方針を決めると後戻りしない体質だ。

 --原子力安全・保安院の経産省からの分離が検討されている。

 ◆分離しないといけない。02~06年に原発トラブルなどに絡んだ内部告発が、県に21通も寄せられた。保安院に情報提供しても対応もせずに東電へ情報が流されると、告発者は恐れていた。原発の運転を前提に安全面をチェックしろと指示してきたと指摘されるのも、保安院が経産省の一組織だからだ。

 --第1原発敷地内からは、微量のプルトニウムも検出された。

 ◆3号機で使用中のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料から出た可能性もある。プルサーマルは、専門家から安全性に懸念の声もあったが、国は推進してきた。

 --多くの住民が原発関連の仕事に従事してきた現実もある。

 ◆原発のない町に帰っても働く場もないという問題は確かにある。ただ、第1原発がある双葉町を見てほしい。原発ができて永久に栄えると思っていたが、すぐに2機増設してほしいという話が出た。財政上の優遇もあったが、09年には自主的な財政運営が制限される「早期健全化団体」に転落した。原発立地の損得を、冷静に考えるべきだと思う。

 --東電は、第1原発1~4号機の廃炉を表明した。5、6号機や第2原発はどう扱うべきか。

 ◆第2原発を再稼働させるべきかどうか、まだ自分の中で整理ができていない。原発は1カ所の立地点で1兆円の投資となる。原発の扱いは、エネルギー政策の根幹にかかわる問題だから。

 【略歴】さとう・えいさく 日本青年会議所副会頭などを経て83年参院議員、88年に福島県知事。5期目途中の06年県発注工事を巡る汚職事件が表面化し、同10月に収賄容疑で逮捕された。無罪主張しているが1審、2審では有罪判決が出て、上告中。02年の東京電力の原発トラブル隠し問題では、原発立地県の知事として、プルサーマル計画への「事前了解」を白紙撤回した。

http://mainichi.jp/select/today/news/20110404k0000e010064000c.html

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安全委員長「原発状況甘くない」 福島第1で報道陣に

 原子力安全委員会の班目春樹委員長は4日、東京電力福島第1原発について、原子炉などの冷却機能回復が不十分で、放射性物質の封じ込めもできていないことを踏まえ「安全委員会の感触としては(状況は)そう甘いものではない」と述べ、深刻な事態が続いているとの考えを強調した。同日の定例委員会後、報道陣の質問に答えた。

 班目委員長は「環境放射能は全体に下がり気味で、ややもすると楽観的空気が流れることを恐れている。注意喚起したい」と述べた。さらに、大気や海水への放射性物質の放出を早期に止める必要性を指摘したが、封じ込めの具体策については「残念ながら解を持ち合わせていない」とした。

 この日の会合では、経済産業省原子力安全・保安院側が、福島第1原発の状況について説明。委員長以外は、1人が「測定機が壊れて各号機の状況の評価が難しいが、これまでの研究を基に状況を推定し、対策に反映させてほしい」などと発言しただけで、議論は低調だった。
2011/04/04 18:59 【共同通信】

http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040401000768.html


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飯館村に屋内退避を提言 京大助教ら、現地で放射線量調査

2011年4月4日 16時14分

 福島第1原発事故で、屋内退避地域外にありながら高レベルの放射性物質が検出されている福島県飯館村で、支援にあたる糸長浩司日本大教授らが、子どもや妊婦を汚染の低い地域のコンクリート家屋に避難させることや、道路や建物を除染することなどを村に提言した。

 京都大の今中哲二助教や広島大の遠藤暁准教授ら研究チームが3月28、29の両日、現地で放射線量を調べたところ、大気中で1時間当たり30マイクロシーベルトの高い値を示す地点があった。村は原発から30~50キロ離れている。

 調査では村南部の比曽川沿いで毎時10マイクロシーベルトを超える放射線量が観測され、最も高い地点では道路上で毎時24マイクロシーベルト、隣接する牧草地で毎時30マイクロシーベルト。この地点で1カ月間屋外にいた村民は、避難すべきだとされる計50ミリシーベルトの外部被ばくを受ける計算になる。

 周辺で採取した土壌からは、放射性のヨウ素やセシウムを検出。セシウム137は1平方メートルあたり218万8000ベクレルという高濃度だった。放射線量は、木造家屋の中では40%、車内で80%、コンクリートの建物の中では10%にまで遮蔽(しゃへい)されることも分かった。

 今中助教は「毎時10マイクロシーベルト以上の地点で生活している人もおり、驚いた。被災者への対策に役立ててもらいたい」と話した。

 飯館村では、国際原子力機関(IAEA)が1日、日本側が土壌から検出した放射性物質の数値を独自に分析し、政府に「平均値は避難基準を下回ったが、状況を注視してほしい」と伝えていた。

(中日新聞)

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011040490161402.html

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東日本大震災:福島第1原発事故 福島の全原発廃炉を 地元市民団体、首相あて要請書

 東京電力福島第1原発の事故を受け、地元福島県の反原発団体や個人でつくる「脱原発福島ネットワーク」などが4日、経済産業省原子力安全・保安院を訪れ、菅直人首相と海江田万里経産相あてに第1、第2原発全10基の廃炉を求める緊急要請書を提出した。

 同事故に関しては、東電の勝俣恒久会長が放射性物質漏れを起こした第1原発1~4号機の廃炉を明言した。しかし、要請書では「生命財産を奪われ、ふるさとを追われた福島県民の心痛を思うとき、原状回復と被害補償はもとより、福島原発すべての廃止と脱原子力へのエネルギー転換は必然」と求めた。

 要請書は同ネットとNPO法人「原子力資料情報室」(東京)が2日に呼びかけたところ、253団体と1000人以上の個人が賛同者として名を連ねた。
【足立旬子】

毎日新聞 2011年4月4日 東京夕刊


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東電原発事故 4/3 注目ニュース

以下、4/3に流れた原発事故関連ニュースを転載。


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放射性物質流出防止には数カ月 政権見通し(1/2ページ)
2011年4月3日22時2分

 菅政権は3日、東京電力福島第一原子力発電所の事故対応をめぐり、放射性物質が漏れ出るのを食い止めるには数カ月かかるとの見通しを示した。1~3号機の原子炉に対する冷却作業は一進一退を繰り返している。政権はこれまで収束の見通しを示してこなかったが、国民の関心に答えるべき時期に来ていると判断した。

 日米連携の日本側統括役となり、政権中枢の原発対応を担っている細野豪志首相補佐官は同日、記者団に「いつまでも放射能を原発から出し続けることは許されない。その状況はできるだけ早く解消しなければならず、そのメドは少なくとも数カ月」と語った。

 また、枝野幸男官房長官は同日の記者会見で「(原子炉を)冷却すると同時に(放射能が)飛散しないようにすることの一般的なやり方について、月単位の時間はかかる」と指摘した。一方で「普通に考えられるやり方で進んでいけばそういうことかなと理解しているが、もっと短縮できるやり方はないか、模索もしている」と述べた。

 原発をめぐっては、菅直人首相も1日の会見で「長期戦を覚悟」と語った。収束のメドを示したのは、場当たり的な対応を繰り返すのではなく、腰を据えた取り組みをするしかない、との考えを示したともいえる。

 福島第一原発では現在、原子炉内の燃料を冷やすために炉内に消火用の配管などを使って大量の水を注入している。その水は高濃度の放射能汚染水となって、何らかの経路で建屋内や海に流れ出ていると見られている。

 東電が一刻も早く進めたいのが、通常使っている原子炉の冷却システムを復旧させることだ。これが復旧すれば、炉内に十分な水を循環させることができ、炉内の水を100度未満にして安全な状態になる「冷温停止」状態にできる。これで原子炉や使用済み燃料プールの水を循環させて燃料を冷やす仕組みを「完全」につくったことになる。

http://www.asahi.com/politics/update/0403/TKY201104030116.html

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原発増設含む計画提出 東電「震災で見直す時間なく」
2011年4月2日23時16分

 東京電力が、福島第一原発の事故が起きた後の3月末に国へ提出した電力の「供給計画」に、第一原発に7、8号機を増設する計画を盛り込んだままにし、福島県が反発している。東電福島事務所は「地震の影響で作り直す時間がなかった」と釈明している。

 電気事業者は電気事業法に基づき、毎年度末、経済産業省資源エネルギー庁に対して10年間の電力需要を見込んだ供給計画を届け出ることになっている。7、8号機の増設は1995年度に提出した計画で初めて明示。それ以来、計画に盛り込み続けてきた。

 同原発には現在1~6号機があり、1~4号機で事故が起きた。福島事務所は、計画が完成したのは震災前で、震災後は見直しをする余裕がなく、そのまま提出したとしている。

 福島県側は計画の内容を事前に把握し、「増設は認められない」と東電側に指摘したとしている。県企画調整部の野崎洋一部長は「実際に提出されたのであれば、県民感情として許せない」と話している。(井上亮)

http://www.asahi.com/national/update/0402/TKY201104020431.html


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屋内退避区域修正へ 福島第1原発、官房長官ら発言
2011/4/3 20:13

 枝野幸男官房長官は3日の記者会見で、福島第1原子力発電所から半径30キロ圏内に出している避難や屋内退避の指示を放射線の観測結果を踏まえて修正する考えを示した。事故処理の長期化が避けられなくなったためだ。一方、細野豪志首相補佐官は同日、原発周辺の大気や海への放射性物質の流出を止める時期は「数カ月後が一つの目標」と表明した。

 原発事故について政府当局者が収束の見通しを明らかにしたのは初めて。細野氏は記者団に「まだ危機的な状況は脱していないが、若干の落ち着きは取り戻している」との認識を示した。米国との調整を担う細野氏は東京電力との折衝にも当たっており、細野氏の発言は米側などとの擦り合わせを経たものとみられる。

 政府は原発から同心円状に一律に区域を設定。半径20キロの圏外避難、20~30キロ圏内の屋内退避を指示している。屋内退避区域では物資が届かず生活難の住民も出ている。政府は「安全性から状況に変化はない」と変更せず、物資支援と自主避難の奨励にとどめている。

 枝野長官は屋内退避指示について「原発事故の影響の長期化は避けられない。指示の仕方は何らかの形で変えなければならない」と指摘。「地域設定のあり方について精緻な対応ができるよう準備を進めている」と述べ、半径30キロ圏内の避難・屋内退避指示全体の見直しに言及した。地形の起伏などに考慮して再設定するとみられる。

 細野氏は同日のフジテレビ番組で「使用済み核燃料が1万本以上あり、処理するには相当の時間がかかる」と説明。

 放射性物質の流出を止めた後に「原子炉を冷却する仕組みを完全につくって安定させる目標がある」と、2段階で対応する方針を示した。

 番組後、記者団に放出阻止の目標について(1)大気中(2)水中(3)土壌――のそれぞれに設ける考えを述べた。そのうえで「放射性物質を出し続けることは許されない。水もそうだ。その状況をできるだけ早く解消しないといけない。そのメドが少なくとも数カ月だ」と話した。

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E2E1E2E3E58DE2E1E2E6E0E2E3E39F9FEAE2E2E2
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福島第1原発:被ばく線量、基準値以下 福島・川俣、飯舘

 枝野幸男官房長官は3日の記者会見で、東京電力福島第1原発から30キロ圏外の福島県川俣町と飯舘村で15歳以下の子ども946人の甲状腺被ばく線量を調べた結果、国の原子力安全委員会が定めた基準値(毎時0.2マイクロシーベルト)を一人も超えなかったと発表した。最大で0.07マイクロシーベルトだった。調査は政府による放射性物質拡散シミュレーションで両町村について比較的高い数値が出たため、3月28~30日に実施した。

 同様の調査は3月24日にも川俣町で66人、26、27日にはいわき市で137人を対象に行い、基準値を超えた子どもはいなかった。【影山哲也】

毎日新聞 2011年4月3日 20時00分
http://mainichi.jp/select/science/news/20110404k0000m040058000c.html

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福島第1原発:米GE会長、東電幹部と会談 事故収束協議

 東京電力の福島第1原発事故で、1号機を建設した米ゼネラル・エレクトリック(GE)のイメルト会長兼CEO(最高経営責任者)が訪日し3日、東京電力で勝俣恒久会長らと会談した。東電によると、イメルト氏は、原発事故の収束や火力発電所増設で協力する意向を伝えた。

 東電側は勝俣会長と武藤栄副社長(原子力・立地本部長)らが対応。1~4号機の放射性物質封じ込めや冷却機能回復の工程のほか、夏場の電力需要ピーク時に向けて東電が計画する火力発電の能力増への支援について協議した模様だ。4日には海江田万里経済産業相らと会談する。

 福島第1原発はGEが開発した「沸騰水型」と呼ばれるタイプの原発で、GEは2号機も東芝と共同で受注した。GEは米ウェスチングハウス(WH)と並ぶ世界有数の原子炉メーカーだったが、米国の原子力開発停滞に伴って事業を縮小。07年に日立と原子力部門を統合した。【山本明彦】

毎日新聞 2011年4月3日 19時42分
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110404k0000m040050000c.html

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福島・川俣町の上空で10倍の放射線量 文科省2011.4.3 18:07

 文部科学省は3日、福島第1原発から30キロ以上離れた上空をヘリコプターで調査、福島県川俣町で通常の約10倍の放射線量を計測したと発表した。同省は「より上層へ放射性物資が拡散している」と注意した。

 文科省は2日、福島県の9カ所と栃木県那須塩原市、茨城県北茨城市の高度約160~650メートルで測定し、川俣町上空で毎時約0.30マイクロシーベルト、福島県いわき市で0.15マイクロシーベルト、福島市で0.14マイクロシーベルト、同県白河市近辺で0.13マイクロシーベルトを計測した。同県上空は通常、毎時0.01~0.03マイクロシーベルトとされる。

 また文科省が同県内の土壌や雑草を1日に採取した調査で、原発から約35キロ北西の川俣町の雑草でセシウムを1キログラム当たり96万8千ベクレル、ヨウ素を50万3千ベクレル検出。約40キロ北西の飯館村の雑草で1キログラム当たりセシウムを72万5千ベクレル、ヨウ素を21万9千ベクレル検出し、地上でも依然、高い数値の放射性物質が計測された。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/110403/fks11040318330009-n1.htm

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原発事故とこれから起こるであろう放射線による健康被害等についてわかりやすく解説しています。

ぜひご覧あれ。










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ジャーナリストの岩上安身氏が、2011年3月31日に京大原子炉実験所の小出氏にインタビューした時の動画を以下に貼り付けます。

【インタビュー要旨】
■政府のデータによるとずっと原子炉圧力容器に水を注入しているのに炉心の水位があがっていない。つまり、常に燃料棒が露出している。これは圧力容器に穴が開いていること。東電は記者会見で圧力容器の「下の方に穴が開いているイメージ」と言って認めた。
■これは要するに、冷却機能(ポンプ)が回復しても水が漏れ出るため正常の回路では冷却できないということ。となれば、今のように水を入れ続ける(=漏れ出し続ける)しか方法がない。そうなると延々と放射能に汚染された水が海に流れ続ける。
■ただし、水を入れ続けることでこれ以上の燃料棒が溶け出すのを防ぐことができれば、大量の放射性物質の放出は免れるだろう。

※補足:ここで政府のデータとは「平成23年(2011年)福島第一・第二原子力発電所事故について」http://www.kantei.go.jp/saigai/ と思われる


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原発と核保有の関係

原発は核保有のための隠れ蓑という話がようやく去年表に出てきたという話。



NHK「“核”を求めた日本」サイト

http://www.nhk.or.jp/special/onair/101003.html


外務省のNHKの番組への反論

「"核"を求めた日本」報道において取り上げられた文書等に関する調査について





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現代ビジネスというサイトで原発事故現場に残った作業員の人の記事があります。

一読の価値あります。


サイトはこちら↓

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2350

以下、一部抜粋
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・・ 周囲からはパンパンパンという不気味な破裂音が聞こえ、5号機でレッカー作業をしていたクレーン車が今にも倒れそうなほど、激しく揺れていました。5号機からは白煙、遠くの1号機からは黒煙も上がっています。今まで私たちのいたバス停に目を転じると、天井は崩れ落ち、内部は瓦礫の山となっていました」

 揺れが収まるのを待って、C氏は敷地内の事務所に戻った。彼の上司が東電の社員と「このままとどまっていても仕方ないでしょう」と掛け合ってくれたため、原発からの退避許可を得た。現在では埼玉県内の知人の家に避難している。

「私たち下請け作業員の日当は、1万5000円程度です。噂では東電の社員は、その倍はもらっていると聞きます。仕事には誇りを持っていますし、原発に危険はつきものです。しかし、この程度の給与で命を落としたくはありません」・・・・・

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