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石巻赤十字病院の医者である石井正氏の著書。震災発生時からおよそ半年間の詳細な記録。

印象的だったのは、以下の点。

①災害医療の面でも、阪神淡路大震災の経験を踏まえて作られていた想定や体制が、今回の震災には通用しなかったこと=想定外の事態だった。

②それでも、事前の準備・備えがあったからこそ、ここまで対応できたのだということ⇒やっぱり準備は大切ですね。

③ボランティアにも本当にしょうもない奴らがいたということ(噂には聞いていたけど、石井氏の体験を読むと改めてなんなんだと感じたわけです)。



(1) 今回の震災で起こった災害医療の想定外
p21-2  患者の来院の仕方に関する想定外
今回のような規模の地震があったとき石巻赤十字病院は、発災当日の来院患者数を3000人と想定していた。
→実際は99人のみ。←理由:救急隊3隊のうち2隊が被災、救急は14台中6台が流されていた。

2日目(3/12)は急患が殺到=前日の99人から一気に779人が運び込まれる。←全国からの応援の救急車、自衛隊車両、各種ヘリが投入されたため。

3日目(3/13)には1257人の急患が殺到=63機ものヘリが運んできた。

p25-27 想定外の患者内訳
想定=クラッシュ症候群など地震による建物の倒壊が原因の患者が多数運ばれてくるはず
実際=クラッシュ症候群の疑いがある費とは6.1%のみ。低体温26.1%、溺水4.3%、内因性疾患32.2%だった。
「ところが実際に運ばれてきたのは、海水につかったまま一昼夜を過ごして体温が極度に低下した人や、寒さで肺炎を起こした人など、マニュアルで想定していない患者ばかりだった」p27

p27 遺体も病院に運ばれてくる想定外
自衛隊は死亡している人と分かっていても「現場に医師がいないため(法的な)死亡確認ができない」状況だった。

p30 急患が長期間運ばれてくるという想定外
発災後1週間たっても連日200人以上(平常時の3倍近くで推移)の急患が搬送されてきた=石巻赤十字病院だけでは、対応できない数となっていた。⇒東北大学病院にも患者の受け入れを要請


p23
広域災害救急医療情報システム(EMIS)が稼働しなかった。←宮城県は支出削減のため2009年度に脱会していた。



(2) 備えはやっぱり大事
p14 石巻赤十字病院では、発災後の4分後の14:50には災害利用対策本部が立ち上がったそうだが、あれだけの地震であったにもかかわらず「誰にも焦っている様子はなく、「なんだか訓練みたいだな」と思った。」と石井氏は書いている。

p19‐20
発災直後、石巻赤十字と災害時応援協定を結んでいた積水ハウス仙台支店は被災者対応のためのテントを設置し、NTTドコモショップ石巻店は衛星電話と携帯電話を提供してくれた。

p25
ヘリ発着についても事前にリアルな訓練を行っていたため、大きな混乱はなかった。

p51
日本DMATの研修会などを通して災害医療のエキスパートと自然に人間関係ができていた。「このとき築いた人間関係が僕を支えてくれた」

p52
2010年1月に石巻地域災害医療実務担当者ネットワーク協議会を立ち上げていた。

p61-63
2011年2月12日に宮城県知事から「宮城県災害医療コーディネーター」を委嘱された。
「東日本大震災が発生したのは、災害医療コーディネーターを委嘱されてからちょうど1カ月後だった。まさにぎりぎりのタイミングで、最低限の準備が間に合ったというほかない。」


(4) 情報入手の経過
3/12 雄勝町が壊滅し、東松島市や石巻市の南浜雲大打撃を受けていることがわかる。
3/15 北上町や牡鹿町、女川町もほぼ壊滅状況との情報がはいる。
3/16 道路の水が引いたため、石巻市役所まで行き、そこで避難所リストを入手。
    ⇒避難所は約300か所、避難者数は5万人とだけわかる。それぞれの状況については不明。

⇒300か所すべての避難所をローラー調査し、必要な情報を入手(アセスメント)して、救護の優先順位をつけていく「避難所のトリアージ」を自分たちでやる。

3/17~ 避難所アセスメントを開始。
【調査内容】
①避難所の人数とその内訳(高齢者、超高齢者、乳児・幼児の数など)
②有症状者の数(傷病者や慢性疾患を持っている人、インフルエンザなどの急性疾患者、発熱や咳、下痢や嘔吐、呼吸困難など)
③ライフライン状況(飲料水、電機など)
④衛生状態(手洗い用の水の有無、トイレの汲取り状況など)
⑤食糧事情と食事の状態(一人当たり1日にどれくらいの量、数の食事が提供されているか)
⑥毛布や暖房器具などの有無
⑦避難所リーダーの連絡先



(5) その他
マニュアルはリアルでなければならない p63
①災害発生直後の被害状況やライフラインのチェックは「どの部署の」「誰が」「どのような手順で」行うか?
②災害対策本部の指揮命令系統や連絡体制はどうなっているか?
③各部署に所属する職員はどのように動くのか?
④必要な物資はどこに、どのくらい保管して、誰が管理し、どこに配備するのか? など

p69
「この震災と、その後の救護活動を経験して僕自身があらためて認識したことの一つが「情報は向こうからやってこない」ということだった。・・・「HELP」の声が聞こえない、見えないのは、そのこと自体が「HELP」のサインだと捉えるべき」

つづく

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