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1棟丸々空室 亘理の災害公営住宅


10月1日に入居を開始する亘理町初の集合型災害公営住宅の西木倉住宅。入居世帯が戸数の4割にとどまり、右手前の3号棟は当面使用しない
 東日本大震災で自宅を失った世帯向けに亘理町が4カ所に整備する集合型災害公営住宅のトップを切り、荒浜地区の西木倉住宅で10月1日から入居が始まる。しかし、100戸に対して入居決定はわずか40世帯。完成した3棟中1棟を丸ごと空室にせざるを得ず、防犯やコミュニティー形成に課題が浮上している。

 町は計380戸の集合型災害公営住宅を整備中で、来年5月までに全て完成する予定だ。先行して建築を進めた西木倉住宅は、約1万2500メートルに鉄筋5階の1、2号棟、同4階の3号棟で構成する。
 建設地は津波で約1.5メートル浸水した。町は防災対策として高床式にした集会所と各棟の2階部分を回廊で連結。非常時でも集会所に電力を供給する太陽光発電と蓄電池を設置した。
 9月11~13日には入居者向けの内覧会を開いた。妻と2LDKに暮らす無職牡鹿栄さん(75)は「住み慣れた荒浜を離れたくなかった。2人で十二分の広さ」と喜んだ。
 とはいえ、全体の6割は空いたまま。町が住民意向調査を元に整備戸数を決め、4度の募集を実施。2回目以降は町外被災者にも対象を広げたにもかかわらずだ。
 町都市建設課の担当者は「国の追加支援策を使って自主再建に転換した世帯が多かった。津波浸水域を避けているのかもしれない」と話す。
 町は入居世帯が孤立しないよう1、2号棟に集約し、19戸ある3号棟の使用を当面取りやめる。共用スペースでのいたずらが懸念されるため、空室の風入れなどの際に見回りを強化するという。
 高齢化も課題。入居者の平均年齢は52歳で65歳以上が35.6%を占める。「コミュニティー形成の意欲を保てるか不透明」と担当者。町は27日、入居者に鍵を引き渡す場で、地元行政区長や民生委員を交えた顔合わせ会を開いて交流を促す。
 入居率の向上にも全力を挙げる。ことし中に5次募集を予定するほか、再建方針を決めていない仮設住宅の住民向けに内覧会も検討している。


2014年09月24日水曜日
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201409/20140924_11025.html

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