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町外避難者とつながる心 宮城・南三陸町の訪問支援好評


 宮城県南三陸町が、東日本大震災で被災して町外の民間賃貸住宅(みなし仮設住宅)や親族方に身を寄せる住民への訪問活動事業を行っている。町内の住民と比べて不足する町の支援情報を伝えて多様な相談に応じる。訪問する支援員も被災者で、世間話に自然と花が咲き、「当事者同士で心と話が通じる」と好評を得ている。

 南三陸町志津川から富谷町成田のアパートに移り住んでいる西城昭一さん(78)一家を今月中旬、南三陸町社会福祉協議会被災者生活支援センターの「訪問型支援員」2人が訪ねた。
 「帰りたいが、高台移転の話がどうなるか。町で土地の買い取りを進めてほしいね」。西城さんが、今抱える不安を支援員に漏らした。地元で農業を営んでいたが、津波で自宅と田畑を流された。仙台市内の病院に通っているため、昨年7月に市北隣の富谷町に来た。妻ちよ子さん(73)と長女の3人で暮らす。
 「寂しいね。周りに知り合いがいない」と話す西城さん。だがこの日は、支援員と共通の知人や再開した町のラーメン店などの話題で盛り上がった。支援員から町の写真集も受け取った。ちよ子さんは「地元の話を聞けるのがうれしかった」と顔をほころばせた。
 町外の被災者方への訪問活動は、町が社会福祉協議会に委託し、昨年11月から実施している。町の状況を伝え、困りごとや健康の相談などに応じる。今年4月までに直接会えた世帯は県内24市町の延べ2091世帯にのぼる。
 支援員は、仕事や自宅を失い町社協に臨時雇用されている住民だ。12人が手分けして回っている。佐藤正文班長は「訪問する側も被災者。同じ立場で率直な会話ができる」と言う。高齢者世帯などには繰り返し訪問。県外に移った被災者にも電話で連絡を取っている。
 元県職員で町福祉アドバイザーの本間照雄さん(61)は「NPOや民間企業に任せる訪問支援では届かない心の通い合いが、地元住民同士だからできる。南三陸とつながっていることを感じてほしい」と話している。

2012年05月29日火曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/05/20120529t13033.htm

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