震災遺児ケア「レインボーハウス」 陸前高田と石巻に着工 東日本大震災の遺児たちの心のケアを担う拠点「レインボーハウス」が、今月中に宮城県石巻市と岩手県陸前高田市で順次着工する。あしなが育英会(東京)が整備し、両施設とも11月に完成予定。震災で2000人を超える遺児・孤児が生まれたことを踏まえ、子どもたちに寄り添い、地域で支えていく環境を整える。
石巻市のレインボーハウスは石巻市中里の旧石巻三越の敷地に建設する。鉄筋2階で延べ床面積約670平方メートル。巻き貝をモチーフに、子どもたちを建物が優しく包み込むイメージで設計した。これまでレインボーハウス建設準備室だった旧石巻三越の建物は事務室などとして活用し、新館と渡り廊下で結ぶ。
陸前高田市のレインボーハウスの建設地は、陸前高田市高田町の市学校給食センターの南側。鉄筋2階で延べ床面積は約1200平方メートル。山々や木々に包まれている場所であることから、屋根を尾根のような形にした。
両施設とも、体育館、宿泊機能のほか、円形の室内で輪になって話ができる「おしゃべりの部屋」、サンドバッグなどがあり思う存分暴れられる「火山の部屋」など、心のケアにつながるユニークな部屋を設ける。
レインボーハウスは、遺児たちが遊んだり、震災体験を話したりする心のケアのほか、保護者の交流や遺児支援のボランティア養成にも使う。遺児たちの行事がない時は地元団体に利用してもらう。20日に陸前高田市で、26日に石巻市で地鎮祭を行う予定だ。
あしなが育英会は岩手県大槌町または山田町と、福島県内にもレインボーハウスを建設する計画。仙台市には2014年3月完成を目指して東北事務所を兼ねた拠点施設を建設する。延べ床面積は2700平方メートル程度になる見込みで、現在、用地交渉を進めている。
建設資金は、各地から寄せられた寄付金などで賄う。あしなが育英会東北事務所の林田吉司所長は「震災から1年10カ月でようやく着工にこぎ着けられる。子どもたちの支援はずっと続く。遺児や家族、ボランティア、地元の方々と一緒に充実した施設をつくっていきたい」と話す。
[レインボーハウス] 阪神大震災(1995年)の4年後、震災遺児支援の拠点として、あしなが育英会が国内外の寄付金で神戸市東灘区に「神戸レインボーハウス」を建設した。2012年3月末までに延べ2万8902人の遺児と保護者が利用した。06年には、遺児のケアセンターと学生寮(180人)が入る「あしなが心塾レインボーハウス」を東京都日野市に開設した。
2013年01月17日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/01/20130117t75016.htm[0回]
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