宮城沿岸、県復興事業用地 所有者不明1割2000筆超 東日本大震災で被災した宮城県沿岸部で、県が整備する海岸防潮堤など公共土木施設の復旧事業に必要な用地が、全体の1割近い2000筆を超える土地で取得困難になっていることが9日、分かった。震災の影響で所有者が不明だったり、犠牲になった所有者の相続人が多数に及んだりするためという。2015年度の完了目標がずれこむ恐れがあり、県は国に特例措置を求めている。
県事業で用地を取得するのは計2万5000筆。これまで2万1000筆分の調査が終わり、うち2000筆が現行制度では迅速な取得が難しいことが判明した。残る4000筆は3月末までに調査する予定で、取得困難な土地はさらに増える可能性がある。
復旧事業では津波被害の軽減を図るため、河川堤防や海岸防潮堤の高さを上げ、県道をかさ上げしてのり面を広げる工事をする。各施設の背後地をより広範囲にするため、新たな用地確保が必要になっている。
取得予定の土地では震災の影響に加え、震災前から相続手続きが長年なされないままのケースもあった。境界が未画定で関係者の権利調整が必要な事例もあるという。
15年度までの事業完了に向け、県は国に対し、所有者不明の土地の使用や境界画定といった管理処分権限を各市町に与えるなどの特例措置を求めている。用地取得には環境アセスメントなどの手続きに最低2年かかることを踏まえ、環境アセスの省略など手続きの簡素化も要望している。
村井嘉浩宮城県知事は5日、被災地視察に訪れた太田昭宏国土交通相と県庁で会談。用地問題に関連し、県事業分の特例措置に加え、高台などに集団移転する事業には使えない土地収用制度の適用も求めた。10日に行う政府要望にも盛り込む。
2013年01月10日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/01/20130110t11015.htm[0回]
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