アダム・カヘン 『未来を変えるためにほんとうに必要なこと』
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2081アダム・カヘン
http://reospartners.com/team-view/63p29
問題の解決が難しくなる3つの複雑性
1.ダイナミックな複雑性
「原因と結果が相互依存の関係にありながら、時間的にも空間的にも遠く離れている。このような問題は個別に対処していたのでうまくいかない。システムを全体として見ることが必要不可欠になる。」
2.社会的な複雑性
「関係者のものの見方や利害が一致していない。このような問題は専門家が対処してもうまくいかない。当事者たち自身の参加が不可欠になる。」
3.生成的な複雑性
「未来がまったく予測不可能で未知のものになる。このような問題は過去のベスト・プラクティス(模範事例)を当てはめてもうまくいかない。新しい「ネクスト・プラクティス」となる解決策を育てることが不可欠になる」
こうした複雑性に対応して行くためには、愛と力の双方が必要である。
マルチン・ルーサー・キング牧師の言葉
p35
「現代の深刻な危機を生み出しているのは、まさにこの道徳なき力と力なき道徳の衝突なのです」
ここで愛(Love)と力(Power)の定義について。
p26
愛:「切り離されているものを統一しようとする衝動」
力:「生けるものすべてが、次第に激しく、次第に広く、自己を実現しようとする衝動」
※コメント:「生けるものすべて」というのは、おかしいのでは? 原語がどういっているかわからないが、せめて人間に限定した方が良いような気がする。
ここで注意すべき点は、愛にも力にも二面性があるということだ。
愛の二面性(p96)
「生成的な愛」⇔「退行的な愛」
言い換えると
〈他者を力づける愛〉⇔〈他者を縛り付ける愛〉
力の二面性(p46)
「する力(power to)」⇔「させる力(power over)」
言い換えると
〈自分の力も他者の力も引き出すような力〉⇔〈他者を支配しようとする力〉
ジム・ギミアンの言葉
p224
「重要な問題は、変化を起こすために力を行使するかどうかではなく、どうすれば攻撃性を伴わずに力を行使できるか、なのです」ジェイムズ・ヒルマン(心理学者)の言葉 p93
「腐敗は力の中で始まるのではなく、その無視の中で始まる」この2つのバランスをどうとりながら物事を進めて行けるかが問題。
p102
「力と愛が分断されていれば、転んでしまう。
力が愛よりも強ければ、あるいはその逆なら、危なっかしくよろめいてしまう。
そして、二つの現象が一つになるようにバランスをとり、力と愛の間を行ったり来たりできるようになれば、なめらかに歩ける。」
つまり「社会変革をめざすとき、私たちが一歩を踏み出せるかどうかは、力と愛の状態を認識する能力にかかっている。」p103
では、どうすればそれが認識できるのか?
以下の問いを考えてみるのが一つの方法である。
p128
1.ここでは力はどこにあるのか?
2.個々の担い手(自分も含め)は何を実現したがっているのか?
3.個々の立場、ニーズ、利害はどのようなものだろうか?
4.だれがどんな種類の「する力」と「させる力」を行使しているのか?
5.誰の発言が重視され、誰の発言が軽視されているか?
6.ここでは愛(=統合される地点?)はどこにあるのか?
7.担い手たちはどのように分断されているか? どのように統合されているか?
8.無理に再統合させられているものがないか?
9.強制されないのに結束が保たれているものはないか?
ところで、ある集団で二つの状態を確認しながら変革を起こして行こうとするときには、以下の2つの点に気をつけたほうがいい。
p156
1.メンバー構成の多様性
2.メンバーによる情報へのアクセス
「集団に多様性が欠けていると、 あるいは情報が欠けていると、集合知の兆しが現れず、対立するか、集団思考にはまる傾向がある」
これらの2つの点に気をつけた上で、さらに計画的にプロジェクトを進めるには、以下の6つの点に気をつけるべし。
p159
1.エクササイズの目的をはっきりさせ、 共有する。
2. 適任で熱心な主催者がいる。
3. チームの基本原則と作業方法を慎重に策定し、合意しておく。
4. ワークショップの会場を静かな民家にする。
5. プロジェクトのリソースもスタッフも十分に確保する。
6. チームは人間関係を築くために時間を割く。
アンジェラ・ウィルキンソン(
http://www.smithschool.ox.ac.uk/people/angelawilkinson.html)
の言葉。
p184
「 シャルイノベーションは新しい着想から生まれるとはかぎりません。人間関係の新しいネットワークから生まれるのです」アフリカのことわざ
p203
「速く歩きたければ、一人で歩け。遠くまで歩きたければ、だれかと一緒に歩け」物事を変えて行くための具体的な方法論の1つはU理論。
p76 U理論の三段階
↓
1歩目:センシング=理解しよう、かえようとしているシステムの現実を感じ取る内的感覚を発達させる。
2歩目:プレゼンシング=システムに置けるの自分の役割や自分の何が必要とされているいるかについて、より深い知を引き出す。
3歩目:リアライジング=深く知るという場所から新しい現実を生み出すために行動する
参照:『出現する未来』
デヴィッド・ボーム(量子物理学者)の言葉 p74
「未来に向かうものごとの中で最も重要なのは、人間どうしの境界を壊すことである。そうすれば、私たちは単一の知性として作用することができる。個でありながら分離されてはいない、これは人間の世界にとって自然な状態なのである」〈頻繁に言及されている人〉
パウル・ティリィヒ
マルチン・ルーサー・キングjr
ピーター・センゲ
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