重い木材軽トラへの積み込み楽に ウインチキットを開発、実用化へ
(2015年11月25日午後5時10分)
軽トラック用ウインチキットの簡易クレーンを使い、荷台に木材を積み込んだ実証試験=24日、福井県越前町樫津の山林
小規模な自伐林家らの負担軽減と所得向上へ、福井県総合グリーンセンターが開発を進めている簡易林業機械「軽トラック用ウインチキット」の実証試験が24日、福井県越前町樫津の山林で行われた。林家が所有するポータブルウインチと併用し、木材をつり上げたり、引っ張ったりして軽トラの荷台に積み込むことができる。この日の試験で大きな問題はなく、大野市の木質バイオマス発電所が稼働する来春の実用化を目指す。
山から木を切り出して自ら搬出、販売する小規模な自伐林家らは、曲がったり、節が多かったりする間伐材は引き取り手がないため、山に放置したままにするケースが多い。しかし木質バイオマス発電では、こうした林地残材もチップ原料として利用できることから、県は新たな「里山ビジネス」創出の好機と捉えている。
ただ山の斜面に残した木材の搬出作業は重労働。小規模林家からは小回りが利き、効率的で採算性のよい機械が求められていた。そこで県総合グリーンセンターは8月に学識者や林業関係者、林業機械を扱う民間業者らによる産学官の開発研究会を発足。軽トラに搭載できる簡易機械の開発を進めてきた。
ウインチキットは高さ約125センチ、幅約50センチの鉄製器具で、軽トラの荷台に装着して使う。長さ約120センチの簡易クレーンが付いており、ポータブルウインチの動力で木材を積み込む。クレーン使用時に木材の重さで軽トラが倒れないよう、地面に固定する補助器具(アウトリガー)も装備している。
積み込み方法は▽クレーンによるつり上げ▽軽トラ後方からの引き上げ▽同横からの引き上げ―の3パターン。引き上げ式では、木材を滑らせるアルミ板を補助具に使う。
実証試験には関係者約15人が参加し、雨でぬかるんだ未舗装の作業路で、それぞれの積み込み方法を実施。作業性に大きな問題はなく、今後はアウトリガーに一部改良を加えるなど、さらに実用性を向上させ、年度内に完成させる方針だ。
県総合グリーンセンターの担当者は「林地残材は普及が進む薪(まき)ストーブの薪や、シイタケのほだ木にもなる。ウインチキットで効率的に木材を搬出し、所得向上につなげてもらえれば」と話している。
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